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愛は技術である。しかし、大半の人々は愛は一つの快感で、運によって突然「落ちる」ものだと思っている。人々は愛を軽く見ている訳では無いけれど、ほとんどの人は愛について学ばなければならないことがあるのだとは考えていない。それは、愛についての問題を''愛する''ではなく''愛される''という問題で捉えていること、愛の問題は対象の問題であって能力の問題ではないと思い込んでいること、恋に落ちた瞬間と''愛している''状態を混同していることの三つの誤りによる。
何らかの活動で失敗したら、人はその原因や上手くいく方法を探るであろう。これと同様に、愛の失敗においてもその原因を調べ、さらには愛の意味を学ぶことが必要である。そのために、私たちは愛が技術であると知るべきである。そしてその技術を習得するには、理論に精通することと、習練に励むこと、そして、技術の習得に自分自身が関心を持っているということが求められる。
愛に関する理論は全て、人間の実存についての理論から始める必要がある。人間はそもそも一つの独立した存在であり、孤立していることによって不安が生じる。これを克服することが人間の最も強い欲求なのである。
これを満たすための方法の一つ目は祝祭的興奮状態になること、二つ目は集団に同調すること、三つ目は創造的活動をすること、四つ目は愛である。そして、この中で完全なものは愛だけである。
愛には実存の問題への成熟した形の愛と、共棲的結合のような未成熟な形の愛がある。
愛は受動的ではなく能動的な活動で、その性質を示しているのは、愛は与えることだという事実と、あらゆる愛に共通した要素があるという事実である。その要素とは、配慮、責任、尊重、知であり、これらは依存しあっている。
また、合一への生物学的欲求の面では、男と女の二つの極の合一の欲望というものもある。
次に親子の愛についての理論を考えてみる。人は生まれてからはじめに母親に愛されるという受動的経験をする。母親の愛は無条件なのである。そして子どもは成長していくと愛することを覚え、母に代わって父親との関係が重要になってくる。父親の愛は条件付きの愛である。やがて子どもは自分自身が父であり母のような状態になる。
また、愛の対象の理論を考えてみる。愛特定の人間のみに生じる関係ではなく、全てのものに対してどのように関わっていくかという態度や性格の方向性のことである。愛の種類は対象によって、兄弟愛
母性愛、異性愛、自己愛、神への愛がある。
愛が生産的な能力であれば、その愛する能力は社会が人々に与える影響に左右される。そこで現代西洋社会の構造とそこから生まれた精神について見てみるが、それらは愛発達を促すようなものではない。本当の愛は様々な偽の愛によって取って代わられているのである。
どのような技術においても共通して言うことができる習練を積むために必要なことは、規律と集中と忍耐と技術の修得をいちばん重要なこととして関心を抱くことである。
愛の能力において必要なことは、ナルシシズムの克服、信じること、勇気、能動的であることの四つである。これらの個人的な面は社会的な面と繋がっており、それゆえ愛の発達を妨げるような社会を大きく変えることも必要となってくる。

ある授業で「愛とは何か」を学生同士で話し合った時、愛とは実在しないものだというような否定的な考えを挙げる人が多かった。このように答える人は、自分の愛の技術が足りないためにそのような考えに至る結果となっている事に気が付いておらず、本来素晴らしいものであるはずの愛を誤解してしまっているのだと理解することができた。愛についてある意味絶望している人に対して、本来の愛の持つ人を幸福に導く力を理解するためにも、愛について学ぶことの重要性を何らかの形で多くの人に伝えることができなければ、愛に絶望する人の数は今後も増え続けていくのではないかと不安を感じた。
ところで、愛は完全に孤独を満たすことのできる唯一のものであり、それによって人を幸せにすることができる技術であるとフロムは言う。しかし愛はそれだけではなく、相手に''与えたい''と思うことから、より価値が増し人々を幸せにすることができると私は考えた。
愛する人の成長を気にかけるとき、その人がよくない方向に向かおうとしたらそれを阻止できるだけの力が必要になる。そのために、愛する人ができた人は愛する人のために何らかの努力をするようになる。愛は人にこのような意欲を与えることによって人間として自立するだけでなく、より多くの能力を身に付けさせることができ、相手の成長のみならず愛する者自らのよりよい成長を促すことから、幸せに導かれると考えられる。
また、愛について関心を持つことが大事だということは私自身の経験からも実にそうだと言えると考えた。
私を含め、周囲で聞く最も多い愛の失敗の原因となっているものは相手に依存していることである。私は「がんばっているのに愛されない人」という本を読み、愛におけるナルシシズムと依存心について知ったことでそのことに気付き、考え方を改めなければと感じた。こうした気付きのためにも、常に愛についての関心を持ち積極的に情報を取り入れようとする姿勢が大事なのだと分かった。